enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.4.30

 春の雨のなか、今日も図書館に向かった。公園の石畳の道を歩いていて、足が止まった。いつもの時計塔や、宮沢賢治の言葉を刻んだ石のモニュメントが、雨に濡れた新緑に囲まれ、うずもれて見えた。季節がまた進んだのだ。
 宮沢賢治の言葉…私は宮沢賢治について、詳しく知らない。なのに、今読んでいる『日本中世の村落』(清水 三男)の文章が、何だか宮沢賢治のようだ・・・と感じている。二人とも、ほぼ同じ時代を生き、37歳で早逝している。そうした人の文章には、確かな声のようなものを感じてしまう。
 人が書く文章は、時代の影響を受けずにはいられない。それにしても、戦前の歴史学者と文学者の文体は、昭和生まれの私にとってさえ、遠くエキゾチックなものだ。今、新聞に連載されている漱石の小説のような文体の潮流が、20世紀半ばの戦争までは、まだ流れ続けていたのだろう。そんな雑駁な結論に行き着く。
 で、図書館に着いた。なんだかひっそりと暗い。図書館は休みだった。すごすごと帰る。やれやれの四月最後の日。
 
公園の石畳の道
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