enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2014.9.13

 数日前、いつものように図書館で午後の時間を過ごした。夕刻、外に出ると雨が降っていた。雨の中に土の匂いが混じっている。自分が草のように潤っている気持ちになった。
 “蛇抜け”…“竜巻”…凶々しく荒れ狂う力を潜在させながら、雨風が穏やかな呼吸で海沿いのこの町を包んでいる。茫漠とした雨音のなかで、自分をあてどなく生きる根無し草のように感じた。
 
 今朝、ベランダに出ると、昨日は排水溝にじっとしていた蛾の姿がなかった。手指をそばに伸ばしても、身じろぎひとつしなかったのに、きっと夜になって飛び立ったのだ。小さな蛾も、そうして短い時間を”何かしらの意思”に導かれるように生きている。『私はいったい何をしているのだろう』…そんな声が繰り返し聞こえてくる。
 
9月12日の海…あたりはすっかり秋の浜辺になっていた。平塚らしい海の景色がもどっていた。
イメージ 1