土曜日は茅ヶ崎に、日曜日は厚木に出かけた。
厚木も、やはり昔のままの資料館を訪ねた。
それぞれ、目を凝らし、耳をそばだて、足も使った。
家や図書館で過ごすとりとめのない時間とは異なり、めまぐるしい刺激を受け続けた。
厚木から平塚にバスで戻り、駅前広場に着くと、二日間で見たものが次々と脈絡なく浮かんでくる。見たこと、感じたことが未消化のまま混乱しているのが、何とも落ち着かない。
駅前の通りには、それぞれの休日を楽しんできた人々がゆっくりと歩いていた。その充ち足りた姿が、自分とは遠い世界のことのように思えた。
そんな疲れた頭と身体に、軽やかな若緑色に芽吹いた柳が声をかけてくれた。
駅前に移植された記念樹の柳だ。うら淋しい冬姿から、柔らかな葉をまとった初々しい姿になっていた。夕方の温かな風にゆれる枝垂れ柳の声はやさしかった。