enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.7.17

 昨日の夕方、雨が降り止んだ。
 外に出ると、風も空も、遠くの海域を進む台風の呼吸を伝えていた。
 海が見たくなる。
 西へと伸びる海岸道路の行く手は細かい霧でかすんでいた。
 浜に出ると、雨なのか波しぶきなのか、かすかな水滴が頬にあたる。
 波打ち際に何人かの人影があった。
 モノトーンの空と海が馴染む人もいるのだと思う。
 
 子どもの頃の秋の台風の記憶がよみがえった。
 家の窓から眺めつづけた鉛色の空。
 荒々しい風が、朱色の実をつけた艶やかな石榴の木を激しく揺さぶっていた。
 その花も実も観ることがなくなった。

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7月16日の海