昨日の夕方、雨が降り止んだ。
外に出ると、風も空も、遠くの海域を進む台風の呼吸を伝えていた。
海が見たくなる。
西へと伸びる海岸道路の行く手は細かい霧でかすんでいた。
浜に出ると、雨なのか波しぶきなのか、かすかな水滴が頬にあたる。
波打ち際に何人かの人影があった。
モノトーンの空と海が馴染む人もいるのだと思う。
子どもの頃の秋の台風の記憶がよみがえった。
家の窓から眺めつづけた鉛色の空。
荒々しい風が、朱色の実をつけた艶やかな石榴の木を激しく揺さぶっていた。
その花も実も観ることがなくなった。
7月16日の海