enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.9.3

 図書館にいると、なぜ気持ちが落ち着くのだろう。海の風、波の音。それに似たものが、図書館のどこにあるのだろう。
 膨大な量の書物は過去の人々の言葉の海なのだろうか。その海から波の音が聴こえてくるのだろうか。書棚の間をさまよって、辞書を眺め、地図を開き、広大な知の海にぼんやり浮かんで時間を過ごす。
 キラキラした太陽の光や、顔を覆おうとする水のゆらめきはないけれど、冷たく温かい波間に、軽くなった身体をゆだねる解放感と似た喜びがどこかにあるのだ。夥しい書物の静かな堆積のなかでぼんやりと過ごす時間のなかに。

9月2日の雲(図書館の帰り道)
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…「おうい雲よ」 「ゆうゆうと馬鹿にのんきそうじゃないか」 「どこまでゆくんだ」 「ずっと磐城平の方までゆくんか」…空を見上げると、子どもの頃の国語の教科書にあった詩句が、いつも繰り返しよみがえる。いつか雲になりたい。