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私の第三十四夜をつづります。

歌人相模の初瀬参詣ルート探訪④:”さまよえる池…「すがたの池」”

      すがたの池にて
106 行く人の すがたの池の 影見れば 浅きぞ そこの しるしなりける

 16日、「二階堂駅」周辺では、行く先々で地元の人々…散歩する人、徒歩や自転車で家路を急ぐ?人々…に、何度も何度も「あの溜池なんですが…」、「この(地図上の)溜池なんですが…」と道を尋ねた。
 高架下の水田地帯の一角に溜池らしき水面がわずかに見えたとしても、その場所に行き着く道が分からないのだ。ようやく、教えてもらった高架下の近鉄線の踏切を渡る。散歩していた人には、一度尋ね終わってしばらくたった頃、再び出逢ったりした。「分かりましたか?」と親切に声をかけられ、さらに尋ね直したりもした。見知らぬ土地で夕闇が迫る頃ともなると、人の親切は本当にありがたい。
 16日に歩き回った土地の様相は、たとえ大都市ほどではないとしても、歌人相模の時代から一千年分の変容を遂げているのだ。しかも、私が「すがたの池」を探訪した地域は、想定ルートのほんの一部でしかない。眼にした溜池はまさに”溜池”であって、形も矩形で深く広々としていた。行路沿いに旅人の姿を浅く…底が透けて見えるイメージなのだろうか?…映すような風情とはほど遠いものだ。もし、歌枕としての「すがた」=「菅田」という推定にこだわらなければ、「二階堂駅」以東に、苑池のような溜池があるのかもしれない…そんなことを思った。
 結局、歌人相模の「すがたの池」の位置は、さまよえるロプノールのように定まらない。私が方向音痴ゆえ見つからない、ということではないのかもしれない。

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菅田神社の森…いや、その手前の樹木…を映す溜池②
(右手の電車は二階堂駅から平端駅に向かう近鉄天理線

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溜池②から見る淡い夕焼け(「あとむら」方面)