enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.10.28

春・夏・秋・冬…若い頃に季節の移り変わりに今ほど関心をもたなかった。
ただ、秋の気配だけは特別に意識しないではいられなかった。
それは秋という季節が、自分の呼吸を急に不安にさせる季節だったから。
そして、それは漠然とした孤独と郷愁がないまぜになった季節でもあったと思う。

今思い返せば、自分の不穏な呼吸と対話するなかで、唯一、自分を許し慈しむことができるように思えた季節。孤独でありながら、不全な自分を郷愁することができる季節。自分が自分であることを知りうる(?)ような季節だったのかもしれない。

老年期となった今や、どの季節であっても呼吸は不穏なのであり、そもそも自分を知りうる季節など、あるはずもないと思うようになった。

春・夏・秋・冬…今の私にさして特別な季節は見当たらない。そして、自分であるということは、ますます不確かなものになってゆく。
それでも、どこかに、子どもの頃からのぼんやりとした孤独と郷愁の記憶は残っているのかもしれない。たぶん少しぐらいは。

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駅舎の上に架かる月(10月27日)

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駅の地下道に架かる絵(10月27日)…波と直交する光彩の向きも、江戸褄のような陸部も独特なのに、馴染みある”平塚の海と陸”が描きこまれていた。