先だって見かけた地下道の絵。
今日も地下道を通った。『おや?』と思った。
絵の奥の富士山の横に、夕陽が、それもリンゴの夕陽が描き加えられていたから。
あの日、塗りたての絵はまだ完成していなかったのだ。
作家は、夕陽のリンゴを描くのを最後に取っておいたのだろうか。
買い物をすませた頃には日が落ちていた。
いつものように、細い道で見上げた空に月が出ていた。
『夕陽がリンゴなら、あの月は何だろう…』
しばらく、似たようなリンゴを思い浮かべてみた。”ぐんま名月”?それとも ”トキ”?
でも、じきに十三夜になろうとする月の形は、リンゴではなかった。
立ちどまって、しばらく月を眺めた。
思いついたのは、子どもの頃に大好きだった薄荷のドロップだった。
あの缶カラに入った色とりどりのドロップのなかでも、薄荷のドロップは数が少なかった。
そして何より、スッとする薄荷の味が楽しみだった。
完成した絵のリンゴの夕陽の部分(10月31日):
富士山の斜面を転がり落ちそうな夕陽。夕陽だけではなく、ほかにも手が加わっているらしく、先だって
とは少し印象が違って見える。
完成前の絵(10月28日):夕陽がまだ無い。その代わり、富士山にも相模湾にも赤い筋が流れている。
10月31日の月:明日、11月1日が十三夜だろうか。