27日午後、友人たちに逢うために、師走の東京に向かった。
逢って、話して、今年一年の垢を落としたい…とメールに書いてきた友人もいる。みな、すでに60代後半の年齢になった。そして、いろいろとあるのだ。まだまだ、煩わしいこと、気がかりなこと。腹立たしいこと、切ないこと。
その日、お目にかかったのは「千手千足観音立像(高月町西野 正妙寺)」。
数年前、高月町を旅した際には、小高い地の小さなお堂のなかにいらっしゃった。
今回は、隈なく照らす人工光のなかで、どことなく明るく嬉しそうな…今にも、関西弁で話しかけられそうな表情なのだった。そして、その不思議な像容には観音像の印象はまったく感じられない。なぜ”観音様”なのだろう…。
館内の壁では、これまで紹介されてきた観音様たちの写真が並び、”人気(?)”投票が行われていた。私も、去年の夏、ここで初めて出逢った観音様に1票を入れた。その時の愛らしい表情と優しい姿がよみがえった。
外に出る。不忍池は夕陽の最後の光に照らされ、一面、銅色に輝いていた。
そのまま、友人たちと逢う日本橋まで歩き続ける。
そして宴が始まり、ゆったりとした時間が流れていった。
21時になろうとしていた。友人の提案で、”東京ミチテラス”が消えた丸の内を抜け、お堀端まで歩く。 強い冷気のなか、空には鮮やかな半月、かしいだオリオン座が輝いていた。師走の一日が終わった。
12月27日の不忍池