歌人相模の初瀬参詣想定ルートを探す私にとって、当麻の二上山一帯が、そのルートに係わる可能性があるのかどうか、何一つ根拠が無かった。ただ、想定ルートとして可能性ゼロではない、という地域の一つが二上山一帯なのだった。
実際に歩いたからといって、何か確実な実感が得られるわけもないけれど、ともかくは歩いてみなければ始まらないのだ。
そうした旅への思い込みとは別に、旅の時間には予期せぬ出来事・見聞・出会いがあったりする。そして、それらの予期せぬ出来事が、旅の収穫の乏しさを埋め合わせてくれたりもする。
こうしていつも旅の終わりには、”もろもろすべて、この旅で味わうべきものだった”という思いが刻まれるのだった。
<二上山の麓で>
時代によって盛衰と異動を経ながらも、今に伝わる古い道筋。
奈良から大阪に向かう視点では、
*二上山の東側を回って大阪に入る”長尾街道”。
10日はそれらの古道の一部を歩くことに費やした。
越えた峠は、竹内峠・穴虫峠・田尻峠。
(今回、私が田尻峠 と推定した地点がそうではなく、「大坂越え」の一地点である場合、「本来の田尻峠」は香芝市〔奈良県〕と柏原市〔大阪府〕の境界地点が該当するように思われる。これから、この峠問題をきちんと越えなければならない…)
人一人、車1台にも出会うことの無かった竹内峠の山道。
人一人歩く姿も無く、車ばかりが行き交う穴虫峠と田尻峠 の舗装道。
こうして、二上山の麓をぐるりと一周してはみたけれど、肝心の想定ルートは霧の中に隠れたままなのだった。
田植え中の水田と畝傍山(葛城市の西光院付近):
竹内街道沿いには斜面を切り開いた小さな水田が点々と続く。