enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2019.6.26

 足を痛めてから2週間が経つけれど、治ってゆく気配がない。
 歩く距離がごくごく限られる毎日。
 情けないほど、どこにも行けない毎日。

 治療院への道すがら、足を引き摺りながら、駅前の小さな公園に立ち寄る。
 人魚姫を囲んで、あれほど華やかな色彩を輝かせていた薔薇たちは、それぞれの”一番の季節”を終え、休息の時間に入ろうとしていた。
 こんな時間がなぜか心地良い。
 季節の宴のあとには、静かなぼんやりとした時間が心地良い。
 
 ゆっくりゆっくり、小さな公園を一回りした。
 出口の近くで、すがれた薔薇の前で立ち止まる。
 くすんだ花びらを西陽に明るませながら、私に何か話しかけてくれたような、そんな気がしたから。

6月25日の薔薇
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