足を痛めてから2週間が経つけれど、治ってゆく気配がない。
歩く距離がごくごく限られる毎日。
情けないほど、どこにも行けない毎日。
治療院への道すがら、足を引き摺りながら、駅前の小さな公園に立ち寄る。
人魚姫を囲んで、あれほど華やかな色彩を輝かせていた薔薇たちは、それぞれの”一番の季節”を終え、休息の時間に入ろうとしていた。
こんな時間がなぜか心地良い。
季節の宴のあとには、静かなぼんやりとした時間が心地良い。
ゆっくりゆっくり、小さな公園を一回りした。
出口の近くで、すがれた薔薇の前で立ち止まる。
くすんだ花びらを西陽に明るませながら、私に何か話しかけてくれたような、そんな気がしたから。
6月25日の薔薇