enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

グローブの中に蝶?

 

やはりこれが”古希”というものか?

最近、がっかりすることばかりだ。
固有名詞がどうにも思い出せない、機械操作にマゴマゴする、忘れ物がふえる…順調に衰えてゆく”脳力”を自覚してはいるけれど、その衰えのひどさ具合がいや増している。

そんななかで、今日は嬉しいことがあった。
四万温泉の旅で、失くしてしまったのか、忘れてきてしまったのか…と思っていたものが、まさにひょっこり、眼の前に現れたのだ。

それは『GLOBE』の12月5日号を読んでいた時だった。
9日の朝、四万温泉行きの電車の中で読もうとリュックに入れ、そのまま読むことなく家に持ち帰り、ずっとテーブルの端に置き放しだった折込紙『GLOBE』。

それを今日、3週間後れで読み進めてゆくなかで、パッと開いた紙面から、それこそパッと、あの”蝶”が飛び出したのだった。

その”蝶”は、中之条駅の観光案内コーナーに置かれていた紙細工だった。広告チラシのさまざまな色彩が、蝶の形に複雑に折り込まれていて、その色合いがそれぞれ個性的で美しかった。
私は案内の方に声をかけ、小篭の中から一つをいただいてリュックに入れ、到着したバスにあたふたと乗り込んだのだった。

ところが、旅を終え、リュックの中を探しても、その”蝶”はどこにも無かった。『確か、大事に何かにはさんだはずなのに…』と思ったけれど、どこにも見つからなかった。

で、その結末が、今日手に取った『GLOBE』の12月5日号なのだった。

『ワッ!』という気持ちだった。そうだ…あの時リュックの中の『GLOBE』にはさんだのだった。

注意力も記銘力も衰えるばかりでがっかりする日々になってしまったけれど、こんなふうに、思わぬ喜びに代わることもあるのだった。

さっそく、部屋の壁に”蝶”を留めた。もう忘れる心配は無い。

 

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中之条駅の紙細工の蝶