enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

今年も秋がめぐってきたよ。

 

ベランダの窓から、金木犀のかすかな香りが迷いこんでくる。
今日は貴方の誕生日。
でも、ささやかな贈り物を届けることも、電話で貴方の明るい声を聴くこともない。

貴方がもういない秋。
どうして? なぜ?
逢いたいよ。声を聴きたいよ。

みんな、知らないうちにいなくなってしまうんだね。
いつでも逢えると思っていた私は何にも分かっていなかったんだね。
そして、私もいつか知らないうちにいなくなるんだね。
そんなふうだということ、やっぱり今まで分からなかったよ。
なんだか、ほんとうにしみじみする秋なんだ。

今年も秋がめぐってきたよ。今日は貴方のお誕生日。良い日だよ。

 

10月17日の噴水

10月18日の薔薇