enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

海へ。

 

ずいぶんと海を見ていなかった。
28日、次兄の家に花などを届けに行った帰り、浜辺に寄ってみようと思った。

浜辺では、運動部の合宿だろうか、群馬県の高校生たちが走り込んでいた。
空は気持ち良く広がっているのに、大島や富士山は影も形も無かった。

『……あの人は、この浜辺に貝を拾いに来ることはないのだなぁ……』
もう逢うことのない人の笑顔と声を思い出しながら、とぼとぼと渚を歩いた。

この前の大風で打ち寄せられたたくさんの貝のなかから、ダンベイキシャゴやナミマガシワを選んで持ち帰った。

 

29日の今日、もう一度海に出かけた。

うっすらと大島、富士山の姿があった。
昨日と同じ高校生たちはトレーニングを終えたようだった。
今日あたり、群馬に帰ってゆくのかもしれなかった。

今日は貝を拾うことはなかった。
渚に残された砂のモニュメントをぐるりと眺めたり(大きな円錐形の砂山はなかなか崩れ去りそうもない出来栄えだった)、低く飛んで近づいてくるトンビの脚や尾羽の動きを眺めたりした(トンビは、飛びながら器用に両足をモジモジさせたり、尾羽をクリックリッと角度を変えて風に乗っていた)。

2023年も大切な人が去って行った。
思い出して、独り言がもれることがふえた。

 

28日の渚から

 

29日の渚のモニュメント

 

貝に開いた暗い穴…そして同じ形の光が透けて見えること

 

裏側にラスター彩が輝くナミマガシワたち(これまで平塚海岸で拾ったもの)


12月29日の平塚海岸

 

そして、昔の”浜辺暮らしの猫”のような猫