古代相模国の総社であった大磯町の六所神社に、平安時代後期の神像が伝わり残されている・・・昨年末の新聞記事が気になり、2012年1月3日、その男神立像・女神立像を拝観するため、初詣客で賑わう六所神社を訪れた。
これらの神像について、新聞記事では11世紀の作、神社の説明板では11世紀末から12世紀前半の作とされている。古代相模国府は、12世紀中頃以前には大住郡(平塚市)から余綾郡(大磯町)に移っていたとされる。これらの神像の制作年代が国府遷移時期に近い・・・そこに大きな関心があった。
また、それとは別に神像の造形そのものへの興味もあった。これらの神像を木造彫刻として見比べた時、祭神の素戔嗚尊と櫛稲田姫命の一対として制作されたとは見えない。あえて両者を結びつけるならば、女神立像は剃髪を控えた女人のようであり、男神立像は、その女人の身辺を守る軍神のようにも見えるだろうか。