enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

祈りの造形(1)

イメージ 1
 古代相模国の総社であった大磯町の六所神社に、平安時代後期の神イメージ 2像が伝わり残されている・・・昨年末の新聞記事が気になり、2012年1月3日、その男神立像・女神立像を拝観するため、初詣客で賑わう六所神社を訪れた。
 これらの神像について、新聞記事では11世紀の作、神社の説明板では11世紀末から12世紀前半の作とされている。古代相模国府は、12世紀中頃以前には大住郡(平塚市)から余綾郡(大磯町)に移っていたとされる。これらの神像の制作年代が国府遷移時期に近い・・・そこに大きな関心があった。
 また、それとは別に神像の造形そのものへの興味もあった。これらの神像を木造彫刻として見比べた時、祭神の素戔嗚尊櫛稲田姫命の一対として制作されたとは見えない。あえて両者を結びつけるならば、女神立像は剃髪を控えた女人のようであり、男神立像は、その女人の身辺を守る軍神のようにも見えるだろうか。
 中央の仏師にこれらの神像を作らせた背景は何か? 六所神社に祀られたこれらの男神と女神は、ともに相模国府遷移の時代を見守っていたのかもしれない。