enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2012.7.5

 昨夜は2時間ほど眠り、ふと眼が覚めた。曇り硝子の窓から白い光が射し込み、寝床が照らされている。窓をそっと開けると満月だった。薄墨色や濃い鼠色の雲間を縫い泳ぐような月を眺めて寝転がっていた。暫くして、白い光は厚い雲の波のなかにすっかり閉ざされてしまった。
 ”雲隠れにし夜半の月かな・・・の上の句は・・・”とぼんやり考えているうちに再び眠ってしまった。朝、再び眼が覚めた時、南の窓は大きく開いたままだった。
 今年の後半の満月・・・何度眺めることができるだろう。見慣れているようで、実際に満月に出遭える機会は数少ない。
 『新古今集』に載る紫式部の歌は
    「めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬまに 雲かくれしにし 夜半の月影」
 詞書によれば、「七月十日ほど」に詠んだものらしい。その月影も満月の光だったのだろうか。