鎌倉時代初期の寛喜二年(1230)、立山山麓の太田寺(越州新川郡)の僧侶などによって造立されたものらしい。”立山神像”として呼びならわされ、現在は”重要文化財 銅造男神立像”として、立山博物館に保管されているようだ。銅造であり、高さは49㎝、時代も鎌倉時代の13世紀前半となれば、伊豆山神社の木造男神立像(高さ212㎝、11世紀前半)との接点はほとんどない。けれども、神像としての立ち姿の趣きが大変良く似ているように感じた。そして、どちらも”神像”のイメージとは異質な個性と存在感にあふれているように見える。細部にはさまざまな違いがありながら、ともに山岳信仰を背景に持つことから、伊豆山神像を考え続けるための何かの手掛かりができたように感じた。