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私の第三十四夜をつづります。

伊豆山神社の男神立像-そのシルエット

 仏像の写真集で各地の不動明王像を眺めていた時、ふと伊豆山神社男神立像に似たシルエットの写真が目に飛び込んだ。タイトルは「立山神像」。
 鎌倉時代初期の寛喜二年(1230)、立山山麓の太田寺(越州新川郡)の僧侶などによって造立されたものらしい。”立山神像”として呼びならわされ、現在は”重要文化財 銅造男神立像”として、立山博物館に保管されているようだ。銅造であり、高さは49㎝、時代も鎌倉時代の13世紀前半となれば、伊豆山神社の木造男神立像(高さ212㎝、11世紀前半)との接点はほとんどない。けれども、神像としての立ち姿の趣きが大変良く似ているように感じた。そして、どちらも”神像”のイメージとは異質な個性と存在感にあふれているように見える。細部にはさまざまな違いがありながら、ともに山岳信仰を背景に持つことから、伊豆山神像を考え続けるための何かの手掛かりができたように感じた。
【補記:その後、立山の”銅造男神立像”の名称が研究成果をもとに”銅像帝釈天立像」と変更された(2015年3月発表)、と知った。山岳信仰とのつながりで伊豆山神像の背景を考える道筋は外れていたようだ。】
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銅像帝釈天立像[ 旧 銅造男神立像](立山博物館蔵)のイメージ        木造男神立像(伊豆山神社蔵)のイメージ