enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2013.6.18

 梅雨入りして、雨空の夜明けに蛙の鳴き声が響き渡るようになった。今の住まいは駅に近く、周囲に水辺は無い。どこで鳴いているのだろう。やはり雨が好きなのかと納得する。
 毎年、住まいの非常階段や通路の壁で休んでいる蛾の姿にもひきつけられる。長く住んでいた海に近い家には庭があった。今の住まいのなかの自然と言えば風と光ぐらいだ。身近なちょっとした自然が新鮮で大切なものになっている。
 昨日の夕方、鬱々として海へと歩き始めた。途中のビルでは、昨年は使われることが無かったツバメの巣に、卵を抱いている親ツバメの姿があった。
 梅雨空の海では、テトラポッドの上にウミネコが並んでいた。
 海のベンチでは、浜辺暮らしの猫がいつものように静かにすわっていた。人々が入れ替わり訪れては水や餌を与えている。
 風が冷たく感じられるようになるまで海辺で過ごし、町に帰った。スーパーマーケットの前のネムノキの花が桜色にけむるように咲いていた。枝の間から上弦の月が白く光りはじめている。『私はいつも静かにここにいる・・・』 そういえば、月を見上げるのも久しぶりだったのだ。
 
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