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私の第三十四夜をつづります。

12世紀後葉の白磁とかわらけ

 今日も「真田・北金目遺跡群展」に出かけた。
 墨書や11世紀前葉の資料についで、興味を惹かれた展示は、12世紀後葉のセット関係にある白磁とかわらけだ。同安窯とされた白磁の破片には、竜安寺の石庭のような細線の文様が施され、灰緑色に光っている(私には白磁青磁の区別ができないことを思い知る)。
 白磁とかわらけの出土について、図録では「宮久保の34A~D区SX003(略)からは、やや大振りのかわらけ(土師質土器)の皿と同安窯の白磁が出土しました。」とあり、「12世紀後葉~13世紀初頭は、まさに保元・平治の乱を挟んで「武者の世」が始まった時代に当ります。(略)この時代の遺物は希少で、ほとんど実態が分からない状態です。その意味で、これらのかわらけ、白磁類は貴重な出土遺物になります。」としめくくられている。
 12世紀半ばには、相模国府は大住郡から余綾郡へと移遷していたとされている。真田・北金目遺跡群が展開する地域は、この白磁とかわらけの時代には、確かに余綾郡の勢力下にあったのだろうと納得させるような遺物だ。12世紀の不動明王立像を大磯丘陵東端の地に造立した人々も、こうした貿易陶磁器に新しい時代、自分たちの時代の到来を予感したのだろうと思った。
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