enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015.5.21

 京都に出かける夢がようやくかなった。
 2001年5月、2004年3月、2011年10月…奈良の旅の行き帰りに訪れただけの京都だった。今回は京都だけの二泊三日の旅だ。毎月のように新幹線で旅に出る友人から、「気をつけていってらっしゃい」と言われるほど、新幹線に乗るのは久しぶり。それだけで嬉しい。
 5月の台風の合間を縫っての旅空は、晴れが二日、曇りが半日。日頃の心がけの悪さは見逃されたようだった。訪れたかった地は主に三つ。一つは平安京の一条から七条まで。歌人相模ゆかりの人々の邸宅跡をいくつか確かめてみたかった。二つめは今回初めての左京南端に建つ東寺。そして羅城門を出て、”さながら都遷(みやこうつり)の如し”と言われた鳥羽の地。そして三つめは平安京南西に位置する石清水八幡宮
 歩けそう、と思えるところはすべて歩いた。一日目と三日目は旅の荷物を抱えたまま歩いた。一日の3分の1は歩いていた気がする。修行のつもりで歩き続けた。おかげで帰りの新幹線に乗ったとたん、脚の芯に疼くような痛みが感じられた。
 三日の間、一生懸命、頭も使ってみた。それでも60代の頭は、若い時のように働いてはくれなかった。乗り換えでうろうろした。電車も一度乗り間違え、道は何度も誤まった。予定外の通りを歩くことにもなった。それも楽しかった。
 また、これまで旅先からたよりを送ってくれた人に、宿から葉書を出すこともできた。『京都を歩いています』と。私にとってはエキゾチックな空間をさまよった三日間。疲れ果て、楽しみ果てた三日間だった。

イメージ 1一日目:石清水八幡宮暮らし?の猫
エジソン記念碑そばのベンチで私が中食をとりはじめると、眼の前に身体を投げ出して寝そべった。猫にエサをやらないでください、とは書かれていなかったので、少しおすそ分けした。

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一日目:近鉄京都線の電車から見かけた東寺五重塔
鳥羽の地域を見学後、竹田駅から、地下鉄に乗り入れると思い込み、入ってきた電車に乗り込んだ。しかその電車は京都駅が終点だった。駅員さんに尋ねてようやく誤りに気づく。「乗り換えることになるので、払い戻しでよろしいですか?」 まだ明るい。宿のある四条まで歩くことにした。久しぶりの京都駅周辺は私には外国のようだった。

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二日目:西院駅に入ってくる嵐電
鮮やかな色。乗ってみたかった。大覚寺展の見学と渡月橋茶店の道明寺…。今回は果たせなかった。
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二日目:東寺の堀で昼寝をしていたカモ
最初は眼をつむっていた。ウトウトするたびにフワッと身体が揺れる。こんな姿勢では熟睡できないと思うのだけれど。
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三日目:命婦町で見かけた大学校舎の校章
新築?の大学の横を通った。地図中の町名は命婦町。命婦…最近読んでいた『古代の女性官僚』の本のなかで印象に残った語だ。帰宅後、校章の星座名を調べると、私の誕生月の星座だった。
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三日目:満開のブラシの木
子どもの頃、庭に咲いていた花。見かけるたびに懐かしいと思う。それなのに、初夏に咲くということをいつも忘れてしまう。
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三日目:京都駅のホームから見る東山
新緑の東山が明るい。眼下を、奈良に向かう電車も走っていった。またこうした旅に出かけるのはいつだろう。遠くには高々と並ぶクレーンの姿。古都の開発が進まないよう祈った。