enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

鍵を持って。

たまたま、日本という”家”に生まれた。
その家は、”民・主・主・義”の4本柱で建っている”家”だった。
はじめ、青天井だった。
”壁”がたち、”屋根”がつき、雨風をしのげるようになった。
脱脂粉乳を飲んだ時期もあった。
20歳まで無事に育ち、”鍵”をもらった。
その”鍵”はとてもだいじなもの、と気がつくまで時間がかかった。

だいぶ年を取った。
生まれ育ってきた”家”についてふりかえる時間が増えてきた。
そして、”壁”や”屋根”に守られてきた自分に、矛盾を感じるようになった。
”壁”や”屋根”を超えて、青天井の自然に憧れる矛盾。
そんな矛盾した気持ちをどうすればよいのか、答えは見つからなかった。

そんな時、生まれ育った”家”の土台の一角がくずれはじめた。
棲んでいた”家”に、”立憲”という土台があったことなど、すっかり忘れていた。
そして、しだいに4本柱もゆらぎはじめているのだった。

2017年10月、私の手に1つの”鍵”がある。
とてもだいじな”鍵”だということを、今の私は知っている。

65年間、生まれ育った”家”をもう一度、土台から復元するための”鍵”。
しっかりした土台の上に、真新しい4本柱を復元する。
そこから、ふたたび、”壁”を、”屋根”をどうすれば良いのか、答えを探し続けなければならない。

時間がかかるのだろうと思う。
そして、その答えが見つかった時、私はすでに青天井の世界に移っている…そんな気がする。