3月初旬、家族と先島諸島を旅した。
初めて眼にする南の島の青い海色、白い砂色。
夜半に目覚める。
木立の奥から聞こえてくるキンバト(たぶん?)の幽かな声…寝息のような、溜息のような。
そして、同じようなひっそりとした波音が重なる。
見上げた空にはたくさんの星たち。
初めての沖縄の旅は、その戦争の歴史や米軍基地の現実にまったく触れることなく終わった。
辺野古を何度も訪れている友人には、そんな旅の話ができなかった。
たくさんの写真のデータも手をつけずにパソコンの中にしまいこんだ。
5月下旬、再び家族と旅に出かけた。
北の果ての島の海色は、深い青。
3月の旅で眼に焼きついた南の島の海色に似た、エメラルド色を含む青色だった。
短い間に南と北の果ての島々を旅した。
今や老境にさしかかった私がようやく出かけてみようとする旅。
旅への華やぐような思いは消えて、過去の自分とお互いに語りあうような旅になっている。
そして、若かった頃の旅が、新しい世界を五感・全身で味わうものであったことがなつかしくもあり、今思えば、どこか見落としていたものが多い旅であったようにも感じる。
年齢それぞれの旅がある…そんなふうに思う。
スミレ①(礼文町)
レブンアツモリソウ①(礼文町)
レブンアツモリソウ②(礼文町)
澄海(すかい)岬の海と空(礼文町):