現在、平塚市博物館1階では、弥生土器の壺1点がスポットライトを浴びて展示されている。この弥生中期の壺の肩の一部に、1頭の大きな鹿に続いて、やや小さな鹿が3頭、足並みをそろえて駆け抜ける(ように見える)姿がくっきりと線刻されている。小さな顔、枝分かれしていない角、弧状の背中、軽やかな脚・・・肉眼ではっきり見て取れる鮮やかな線刻だ。
壺の頸から肩まで15cmほどが残存し、その部分だけでの線刻画でありながら、土器とともに展示された展開写真は、鹿の躍動する姿をおおらかに伝えていて小さな壁画のようだ。