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私の第三十四夜をつづります。

走湯と筥根

 5月の初旬、初めて歩く比叡山西塔の坂道は、まぶしい緑のなかにあった。森に響きわたる鳥の声に耳を澄ませ、雨上がりの空を見上げると、歌人相模その人の影のようなものが心によぎった。
      「ほとゝきす みやまにたかくいのる事 なるときこゆるこゑをきかはや」  (『相模集』 早夏の部)
 また、紀貫之が眠る裳立山でも、歌人相模のその後の人生がこのように静かな地で終わっていることを願ったりもした。
 古代を回遊するように琵琶湖のほとりを旅したあと、下旬に入って、初めて箱根神社を参詣する機会があった。
 歌人相模と”走湯百首”を伊豆山神社に結びつけてきたのは私の思い込みでしかなく、『相模集』の詞書からは「走湯」と「筥根」のどちらの「権現」を想定すべきなのかは分からない。ただ、箱根神社伊豆山神社の立地を実際に比べることができた今、改めて、歌人相模が訪れたのは伊豆山神社であったように思う(思い込みが強くなっただけなのだが)。
 
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(杉並木と石段)
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
  
                                                               箱根神社
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