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私の第三十四夜をつづります。

遺跡への思い

 遺跡のなかには、やはり育まれてゆくものもあるのだ・・・15・16日と茅ヶ崎で開かれたシンポジウム『下寺尾官衙遺跡を考える』に参加して、そんな風に感じた。
 十数年前、茅ヶ崎駅近くのビルの一室で、生まれて初めて古代瓦を見た・・・存在感のある瓦・・・木綿豆腐のような圧痕があった。それが下寺尾寺院跡の平瓦だった。
 それから何度も現地説明会を見学し、何回も講演・講座を聴き、毎年、遺跡調査発表会に通った。その間には、隣接する西方A遺跡で高座郡衙跡も姿を現した。この遺跡群そのものの魅力に導かれ、地道な調査・研究が積み重ねられてゆく過程を見続けることができて本当に楽しかった。
 今年に入り、長く親しんできた下寺尾一帯の遺跡の調査がようやく一区切りを迎えていることに淋しさも感じていた。しかし、この2日間のシンポジウムで多種多彩な刺激を含んだ発表を聴いた今、頭の中は再びフツフツとざわめいている。遺跡とは知れば知るほど分からなくなるものなのだろう。これからまた、ゆっくりと分からない楽しみを追い続けてゆける。冷房された会場を出ると真っ青な空と白い雲が眩しかった。疲れたのに元気だ。