enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2016.5.26

 朝、ベランダのガラス戸を開けると、夏の風が吹き込むようになった。遠くの海からはるばると渡ってくる湿った風だ。春にも、冬にも、秋にも、こんな風は吹いてこない。風のなかに、南の海の姿が透けて見える…あぁ、また夏がやって来るんだと気づかせてくれる風だ。
 
 25日は2回目の講義の日だった。最近、電車の遅れが多いようなので、つい早めに出かけてしまう。講義が始まるまで、ホールで待つことにした。吹き抜けのドーム天井が美しい。読み止しの本を開く。本のなかの案内人は876年生まれの大宅世継という人だ。190歳なのだとうそぶいている。人を食ったようなその人が語る話を聞いているうちに、待ち時間はあっという間に過ぎてしまった。

天井①(鶴見):瞳のように見える。宇宙を見る眼だろうか。
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天井②(平塚):2011年3月11日の地震の時、このアーケードの下を通った。足元の揺れそのままに、激しい音を立てた。初めて聴く天井の音。その後、地震の恐怖が薄くなるまで、このアーケードを通れなかった。
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