enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017.10.7

 いつだったか。
 友人とインド林檎の思い出を話し合ったことがある。
 今はどこにも見かけないインド林檎。でも、その独特の匂い、甘さ、形をはっきり覚えている。

 そして、この季節、毎年のように、友人からリンゴをいただく。今秋は2回目。
 数年前に比べ、少しずつ、実が大きく、美味しくなっている。
 こんなリンゴを育てる友人はすごい人だ…いつも思う。私には決してできないことだから。 
 
 秋の終わりごろには、安曇野の友人もリンゴを届けてくれる。
 つややかなリンゴが並ぶのは素敵だ。その豊かな色と形。
 
 私が果物のなかで、リンゴが一番好きだ…そう思い込んでいる。  
 ほかにも好きな果物があるのに、リンゴを裏切ることはできない、といった気持ちがある。
 たぶん、ただリンゴが美味しいから、というのではなく、切り取られた数少ない思い出のなかに、印象深く存在してきた果物だったから…そんな気がする。
 あの部屋のリンゴ。あの時のリンゴ。あの声とリンゴ。時間のなかにリンゴが鮮やかに存在する。

10月のリンゴ
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