enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

さようなら、古い文庫本たち

 

今は誰も住むことのない家…まもなく跡形も無く消えるはずの家…には、数十年も眠ったままの本がある。廃墟になりかけのその家に、このところ何度か通っている。そして、もう少しの時間、手元に置いておきたい本たちを選んで持ち帰っている。
それでも、遺してきた本に、やはり少しだけ心残り(廃棄することの迷い)があった。

昨日、その家に帰るのはほとんど最後…そんなつもりで出かけることになった。
そして結局、古い古い文庫本の束…小口が日焼けで変色している…を、持ち帰ってきた。

日焼けした文庫本たち…どうしても資源ゴミには見えなかった。
学生時代の私が偏読し(その割には、内容の記憶がほとんど無いのが哀しい)、置き去りした果てに変色した文庫本たち。
(小説では、ほとんどが三島由紀夫の作品。ほかに大江健三郎夏目漱石が多かった。)


帰宅してから、三島由紀夫の文庫本…なつかしいデザインの新潮文庫本22冊…をシリーズとして順番に並べ、『新潮文庫解説目録ー1973年』と見比べてみる。
『永すぎた春』と『獣の戯れ』が欠けていた(なぜ欠けているのか…今となっては分からない)。

リストも作った。
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新潮文庫
仮面の告白
花ざかりの森・憂国
愛の渇き
盗賊
禁色
鏡子の家
潮騒
金閣寺
美徳のよろめき
沈める滝
美しい星
近代能楽
午後の曳航
宴のあと
音楽
真夏の死
獅子・孔雀
青の時代
鍵のかかる部屋
ラディゲの死
アポロの杯
肉体と衣裳

【中公文庫】
文書読本
作家論
荒野より
癩王のテラス

講談社文庫】

絹と明察
太陽と鉄

【角川文庫】
純白の夜
夏子の冒険
不道徳教養講座

集英社文庫
夜会服
肉体の学校

【文春文庫】
行動学入門
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写真も撮った。
もう、心残りは無い……無い。

 

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           「さようなら、古い文庫本たち…」