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私の第三十四夜をつづります。

上野~みなとみらい

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都美術館で

               
師走に入った。
1日朝、ようやく上野に出かけることができた。

師走の上野公園…桜並木の紅葉はすでに散っていたけれど、のびのびと大きく育った木々の黄葉・紅葉が青空に映えていた。

久しぶりの都美術館に着く。
門の前には、寒そうな背中を見せて、数人の人々が開門を待っていた。
(『まさか…まだ開いていない?』
 開館時刻を調べずに出かけたのは私だけに違いなかった。)

電車内で読んでいた本を取り出す。そして、手袋をしてくるべきだった…と思う。
(その本…『古代韓半島倭国』〔山本孝文 中公叢書 2018年〕は、考古学の研究成果を慎重に扱う著者の姿勢に惹かれた。全く知識の無い古代韓半島の歴史について、覚束ない私の脳味噌も随所で反応する。新たな視点を学ぶことの喜びに導かれて、最後まで読み通せる本だった…それが嬉しい。)

ようやく開門の時刻。
(都美術館の職員の方が、寒空で開門を待っている私たちにねぎらいの言葉をかけてくれる。)

展示室は壁が広々と見えるほど、混み合うこともなく、落ち着いて作品たちと向かい合うことができた。そして、これらの絵画・彫刻の数々が一人の個人の力で集められたことに感嘆した(できることならコートールド美術館そのものを訪ねてみたい…そう思った)。

 

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セザンヌの絵葉書(『アヌシー湖』1896年):
アヌシー湖は氷河湖で、有数の透明度なのだという。セザンヌが描く”水辺”を初めて観たように思った。

美術館を出る。

公園は休日を楽しむ人々でにぎやかに、そして温かそうに変わっていた。
早起きしたご褒美で、まだ一日の半分なのだった。
上野駅から横浜に向かった。

みなとみらいの公園でも師走の空を見上げた。
『青いなぁ…』

ひとしきり、お父さんお母さんと遊んでいた小さな子が、「今日のお散歩、楽しかったねぇ!』と大きな声で話しかけながら帰ってゆく。

こうして、2019年の師走はいつになくゆったりと始まった。

 

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みなとみらいの公園で