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私の第三十四夜をつづります。

仏像の”持続可能性”を学ぶ。

 

17日、横浜市指定・登録文化財展のトークイベント(山本勉氏×「みほとけ」さん)に参加した。

主催者は能登地震に言及される中で、その文化財の被災についても懸念を示された。
(冬の陽射しが明るく射し込むアトリウムの時空間の彼方に、能登の現在があるのだと思い及んだ瞬間、不覚にも涙があふれた。)

巧みに展開してゆく”トーク”と洗練された画像資料に引き込まれ、1時間半があっという間に過ぎた。

ことに、證菩提寺阿弥陀三尊像の由来は強く印象に残った。
また、会場には向導寺・阿弥陀如来坐像の台座部材や解説パネルが展示され、なかでも金箔の残る”蕊”の美しい形に魅惑された。

山本勉氏と「みほとけ」さんのやり取りを聴きながら、人々の信仰に守られながら歴史の波をくぐりぬけてきた仏像という存在の強さと儚さを思う。
その強い精神性とともに、文化財として研究対象として奥行きを深めつつ、長く長く生き残り続けてほしい…そして、私も限られた人生の中で、そうした仏像たちにたくさん出会いたい…そう思った。

 

【左】向導寺阿弥陀如来坐像台座の「蕊(しべ)
【右】向導寺阿弥陀如来坐像台座の「蕊」に残る金箔 

 

【左】「向導寺 阿弥陀坐像 台座 残存部材」解説パネル
【右】「仏像の台座」解説パネル(證菩提寺 阿弥陀三尊 中尊像 台座)

 

【左】向導寺 阿弥陀如来坐像 「保存修理の過程」解説パネル
【右】(左写真の部分拡大‐横から・正面から・バラバラの部材‐):
お像の腹部下方に脚部材を組み込む構造(二つのホゾ穴で接合する)…寄木造りがまだ良く理解されていない時期?…といった説明があり、仏師が手探りで制作するようなそのイメージにリアルさと親しみを感じた。


向導寺「阿弥陀如来坐像 修理前後の姿」解説パネル 



「寶林寺 釈迦如来坐像」解説パネル 

 

「證菩提寺 阿弥陀三尊像 (修理前)」解説パネル:
浄楽寺の阿弥陀三尊像と、どのように違うのだろう?(どのように似ているのだろう?)
そして、制作した仏師は誰なのだろう?




寶林寺(南区)・證菩提寺栄区・向導寺泉区の所在位置
(「横浜市内の指定文化財  [彫刻]  所在地図」パネルの撮影写真上に、「向導寺」(泉区)・「菩提寺」(栄区)の寺名を拡大して追加今年度指定の「(寶林寺)●」を南区内に追加)

 

「令和5年度 横浜市指定・登録文化財展」チラシ:
菩提寺 阿弥陀三尊像については、会期途中の2月27日~3月10日のみ、展示されるとのことだった。
岡崎義実源義朝を偲ぶよすがとして、これらのお像を間近に拝することができれば嬉しい。)
重要文化財 證菩提寺阿弥陀三尊像 保存修理後初公開のお知らせ【横浜市歴史博物館】 | 公益財団法人横浜市ふるさと歴史財団のプレスリリース (prtimes.jp)


1月17日の空(横浜市役所前で):
クイーンズスクエアの屋上から白煙が立ち昇る…どこかSFめいた風景。