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私の第三十四夜をつづります。

2020-01-01から1年間の記事一覧

出歩かない間に。

家や街で。 出歩かない間に、図書館が休館になっていたりする。出歩かない間に、在ったはずの家が消えていたり、松林の並びに自動販売機がピカピカと埋め込まれていたりする。 気がついていたことは、ベランダに射しこむ光が明るくなったこと、白いふわふわ…

アンダーコントロール

3月12日。今日、友人から届いたメールには、『mi・ra・i・e つなごう・未来へ 出版で働くものだからこそ、できること』(No.38 2020年3月10日)が添付されていた。 「あれから9年、アンダーコントロールの現実」と題された今号は、7名の方が執筆している。9…

再びの草津④ ~白根神社と光泉寺で~

草津での二日目、宿から”西の河原”に出かける途中、白根神社と光泉寺に立ち寄った。昨年、初めて草津を訪れた際には、『(一人旅なら)寄ってみたいなぁ…』と見上げた場所だった。 二日目の朝は気温が低く、宿の周辺も靄がたちこめていた。外に出ると、眼鏡…

2020年3月10日に。

明日は3月11日…あの東日本大震災から9年の時間が積み重なったのだ。また、今日眼にしたツイートで、シリア内戦も9年に及ぶと知った。 その重過ぎる9年間の現実について、何もかかわらない自分がいる。 先日、突然、自分が緩慢な大きな動きで揺り動かされてい…

再びの草津③ ~カラマツ林や”西の河原”で~

足跡は途中で分かれて…? 宿のまわりにはカラマツ林が広がっていた。二日目、宿からスタートする”午後の自然散策”に参加し、カラマツ林に向かった。長靴に履きかえ、ガイドさんたちと一緒に雪道を歩く(ほとんど小学生の気分だ)。 残雪がまぶしい林のなかで…

再びの草津② ~本白根山と東麓の林~

3月1日午後の本白根山: 草津温泉が本白根山の東麓に位置することを初めて実感した風景だった。 白銀の気高い山容…その山体の内部から麓の町へと、豊かな熱水が滔々と流れ下ってくるイメージは、直ぐには湧いてこないのだけれど。 3月3日朝の本白根山 3月2…

再びの草津① ~残雪の林のなかで~

大谷池の雪 昨年の11月末、初めて草津の湯に浸かった。わずか1泊ではあったけれど、その酸性度の強い湯は、私の持病(喘息とセットで長々と付き合ってきた慢性的な皮膚の炎症)に、かなりの…驚くほどの?…良い効果をもたらした。 年が明け、ふと目にした新聞…

2月29日に。

夕方のTVから聞こえてきたキャスターの言葉。TVから流れてきた言葉として、私が初めて聞くものだった。 「国民は国家の奴隷ではないので…」 ”奴隷”の言葉に一瞬、身構えた。これから始まる首相会見を見据え、キャスターの覚悟を刻むような、捨て身の言葉とし…

2月26日に。

東京でも雪降りとは無縁の2月26日だった。 その2月26日の午後、衆議院予算委員会は野党党首らを質疑者に迎えていた。 そして、夕刻になる頃には、とりとめない思いが浮かんだのだった。『今日、もし大蔵官僚時代の平岡公威がこの場に臨んでいたならば、どの…

相模川河口で。

川面で休むカモたち 2月から新しいノートパソコンを使い始めた。まだ windows10 の導線に慣れない。勝手が違って、ウロウロ・おろおろ、無駄な動きを繰り返してばかり。 毎日、頸も肩もズンと重い。我慢が続く。しだいに我慢ができなくなる。そして、楽にな…

ミャンマーで ⑨ カメラで見てきただけ…その数々。

旅から帰ったあと、東京で友人たちと食事をした。ミャンマーの旅に話題が及び、友人から「なぜ、ミャンマーに?」と問われた。とくにこれといった思い入れはなく、家族の旅に同行した私は、その「なぜ?」という問いに戸惑った。さらに話題は進み、友人はロ…

ミャンマーで ⑧ ”ビルマ”が名前に残る野鳥

ビルマヤブチメドリ(バガン) 早起きが多く慌しいミャンマーの旅。 それでも、宿の庭に出れば、異国の野鳥が啼き交わし、旅心が湧きあがった。 帰宅後、撮りためた写真のなかから野鳥を拾い出し、その名前を調べてみる。なかなか分からなかった鳥の名前は「…

ミャンマーで ⑦ エーヤワディー川は変わらぬ姿で、と思う。

古都マンダレーの西を流れるエーヤワディー川(昔、覚えた名前は”イラワジ川”) 若い頃、毎日の通勤で…その3分の2以上の期間、国鉄を利用したけれど、ボックス席の窓下に備えられていた灰皿が消えたのは、いつ頃だったろう?…平塚駅から東海道線に乗り、東京…

カタルシスの無い『パラサイト』

昨日は温かな陽射しに誘われ、散歩に出た。その帰り道で映画館に寄った。 (本当は、封切りになった韓国映画『パラサイト』を観るために散歩に出たのだ。) 映画を観終えて、頭がふらつくように感じた。 私におよそ想像できていたのは、描かれる”貧困”のディ…

ミャンマーで ⑥ 自由な犬と、もともと自由な猫たち

ミャンマーで私が見かけた犬は首輪や鎖から自由だった。怖いほどに精気にあふれた犬は見かけなかった。みな、とぼとぼと歩いているか、場所を選ばずに、土ぼこりにまみれて、脱力状態にあるか、寝ているか、していた。ただ、子犬は誰かと遊びたそうなくらい…

ミャンマーで ⑤ アーナンダ寺院の11世紀の仏像

12世紀建立のスラマニ寺院で私が見た仏様の多くが坐像・涅槃像であったのに対し、11世紀建立のアーナンダ寺院で東西南北のそれぞれに配された仏像は、巨大な立像(高さ約9.5m)だった。 ガイドさんは「北と南の仏像は創建時の11世紀代のものです。1本のチ…

ミャンマーで ④ 外光が差し込むスラマニ寺院

修理中のスラマニ寺院(バガン):2層の美しいピラミッド型のシルエットはこの位置からは望めない。加えて、地震の被害を受けた仏塔部分が工事中だった。 初めてのミャンマーの旅のなかで、”寺院と呼ばれる建物”を実際に眼にしたことで、私が若い頃から”ビル…

ミャンマーで ③ ”うねる瞼”に出会う。

”うねる瞼”:スラマニ寺院の壁画(バガン) 数年前から、鶴見で開かれている仏教美術の講座に参加してきた。その講座のなかで、先生が何度か指摘した”うねる瞼”・”つりあがる目尻”を持つ仏像や画像の事例が、ずっと心に引っかかっていた。 先生が指摘した一…

ミャンマーで ②

渋滞中のバスの窓から(ヤンゴン 2020年1月20日) 15日は、機内に1冊の本を持ち込んだ。久しく読むことがなかった村上春樹…その短篇集(『女のいない男たち』文藝春秋 2014年)を選んであった。 途中、いつものように頭痛薬を飲んだにせよ、ビルマまでの7時…

ミャンマーで ①

夜空を背景に燦然と輝くシュエダゴン・パゴダ(ヤンゴン 2020年1月15日) ミャンマー…今回の短い旅で初めて訪れたその国について、本当に何も知らなかった(今も何も分かってはいないのだけれど)。 駆け足で巡ったミャンマーから帰ってきた今、改めて、大昔…

”海と夕焼”

”海と夕焼”(2020年1月11日16時52分) 2020年1月11日。夕刻の報道のなかで発せられた「亡国感」という言葉が異様に、そして切実に響いた。 台湾の人々がその言葉から聞き取る響き・意味合いと、日本の私が受け取るイメージとが、どのように重なり、どのよう…

1月8日の月

10日の今夜が満月であれば、8日に見た月は十三夜の月? 東の空では淡くはかなく消え入りそうなのに、中空にあがれば白い磁器の肌を輝かせる。 見つめることが許されるその光、その形の変幻。その詩的な光、その音楽的な形。

真土大塚山古墳の副葬品:「金官加耶産の有肩袋状鉄斧」

かつて相模国府について学んでいた頃、「相模国府年表(7~12世紀)」を自分の覚書としてまとめたことがあった。その作業のなかで、具体的に良く理解できない用語の一つとして、”勅旨田”というものがあった。当時の相模国司や郡司たちの資料上での動きや、9世…

曲名は?

暮れからお正月にかけて、壊れかけのミニコンポで、昔のMDやCDを聴く時間がふえた。久しぶりに聴いたMDのなかに、美しい調べのアリアがあり、しみじみと聴き惚れてしまった。何回も繰り返し聴いた。『これ…何のオペラ?…たぶん、ヴェルディ…いや、もしか…

平塚海岸…箱根駅伝前日の静けさ

1日、家族から、今から海に行く?と誘われた。昨日と違って、日没に間に合いそうな時間だった。二日続けて、海へと出かけることにした。 海岸通りの旅館前には、駅伝に出場する大学の幟が並び立っている。明日は朝早くからヘリコプターが飛び回り、町の人々…