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私の第三十四夜をつづります。

日記

「足柄」の神様・仏様たち。

秋晴れの13日、神奈川県立歴史博物館で開催中の『足柄の仏像』展に出かけた。 これまで、印刷写真で眺めていた仏様・神様が目の前に…。(あぁ、あのお像はこのような木肌、このような色合いだったのか…こんなふうな立体感だったのか…そんな驚きの連続だった…

美術館のラスター彩の器たち。

待ちに待った季節になった。 7日午後、「藤田嗣治の初期作品」を見ようと、平塚市美術館に出かけた。20代前半の彼が描いた「おことさん」と「自画像」には、とても繊細でやわらかで丁寧な空気感と…何よりも、若者のまっすぐな眼を感じた(彼の作品を、黒田清…

沖縄県知事の「判断保留」の重み。

今朝、開いた新聞1面のTOPは「辺野古 知事は判断保留」の記事だった。記事の横に掲げられた写真の県知事の表情から、その判断の重さが伝わってきた。 辺野古の最高裁判決について、9月初めに沖縄県(知事)宛にメールを出したあと、不安がまったく無かったわ…

満月に鴨長明を想う。

今夜は満月。 ベランダで月を待つ。 黒々とした建物の端の空がほのかに明るい。 月が近づいている。 おぉ…月がむら雲の波間を泳ぎながら、9月の夜空を渡ってゆくよ…。 雲があってこその月の光…おごそかな光。 『鴨長明集』より 36 くまもなき かゝみとみえて…

本当に久しぶりの海…。

海まで散歩することなく夏が終わった…長くて暑かった…。 今や、衰えた陽ざしも風も、海へと誘っている。次兄の家にブドウを届けるついでに、夕焼けを見てこようと海に向かった。 (平塚ではおよそ、春分は六時頃に夜が明け六時頃に陽が沈む。秋分は五時半頃…

仏様たちに会いに行く(2023.09.16)

16日、東京方面に出かけた帰り道、上野の東博に立ち寄った。その日、「京都・南山城の仏像」展が始まったのだ。 午前中、少量の水分だけで蒸し暑い中を歩き続けたせいか、よろよろになった身体で本館にたどり着く(なつかしいユリノキの木陰がそこにあった ……

考古学者の「百済観音」

『疲れたなぁ…暑いなぁ…』『暑いなぁ…疲れたなぁ…』それでも、光や風がやわらぎはじめた。少しずつ、本も読めるようになってきた。 先日、古本屋さんから届いた『百済観音』(浜田青陵 平凡社)を開くと、古書独特の湿った匂いがした(『百済観音』の文章に…

ようやく8月が終わってゆく。

今日で8月が終わる。長かった8月。暑すぎた8月。今日で8月が終わる。灼熱の日々が嘘だったかのような季節が用意されるまで、もう少し? 8月28日の夕焼け 8月31日の薔薇(人魚姫の公園で) 夏が通り過ぎようとしていて、夕方にはその後ろ姿が見えたりする。見…

終わらないし、消えないさ。

朝、開けた窓から聴こえてくるのは、ジリジリとした蝉の声ではなく、秋の虫の秘かな声に代わっている。とことん暑かった夏もじきに終わってゆく。何ごともなかったように。 でも、福島も辺野古も、そんなふうには終わらないさ。虚しいけれど、声は消えないさ…

高原の蝶と花たち③

私は湿原の風景が好きだ。 なぜだろう?湿原という…ある意味で…閉じられた空間の中でこそ、解放され、その風景のなかに消えてゆけるように感じるのは? 湿原を歩んでゆくうちに、しだいに日常の時間が遠のいて、記憶の底に沈んでいた世界…私より先に、あらか…

高原の蝶と花たち①

8月半ば、家族と信州の高原に向かった。 短い旅のなかで撮りためた蝶や花たち。昼間の高原は憧れの冷気からはほど遠かったなぁ…と思い返している。それでも、高原に咲くハクサンフウロたちの下葉は赤くなりはじめていて、季節は確かに秋へと移っているようだ…

所蔵品たちの境遇。

地方財政の厳しい現状のなかで、美術館・博物館の学芸員さんたちは理想と現実の gap に悩み、葛藤の日々を送っていることだろうな…と、これまでも感じてはいた。 しかし今日、一連の報道記事(毎日新聞:【美術品を「粗大ゴミ扱い」大阪府が地下駐車場で105…

常念岳の麓へ(3)

旅の四日目。あっという間に旅の時間が過ぎてゆく。 【6月8日(木)⛅】 明日は再び鈍行電車で平塚に帰る。安曇野を歩くのも今日が最後になるのか…。まず家族と「田淵行男記念館」を訪ねる。 想像した通りの「田淵行男記念館」だった。初めて訪れたような気が…

常念岳の麓へ(2)

旅の二日目の6月6日。朝9時前、ホトトギスの一声を耳にしながら宿を出た。戻ったのは16時過ぎだった(7時間のうち、宿との往復で2時間を費やしていた)。 今回の旅の目的地…「アルプスあづみの公園」では、全体の半分を歩いたところで時間切れとなった。サン…

常念岳の麓へ(1)

6月上旬、どうやら天気は持ちそうだった。 朝早く、鈍行で穂高に向かった。(家族の旅の目的はほぼ一つ…オオルリシジミ。そして同行する私の望みは、南豊科の友人に数年ぶりに会えるだろうか…というものだった。) 結局、家族は今季最後のオオルリシジミに出…

5月初めの高麗山で。

5月2日、再び高麗山に出かけた。今回はホトトギスとオオルリを…せめて声だけでもと…期待して。 4月初めの高麗山を楽しんでから1か月。山はすっかり初夏の姿に変わっていた。 いつもなら行き交う人もない八俵山への坂道で、「こんにちは」の挨拶を繰り返した…

「ピース」が咲いていた。

4日ほど家を留守にしている間に、人魚姫の公園の「ピース」はすでに満開になっていた。 カナリアに似た黄色のとても大きな花。外側の花びらの縁には細く紅色がさしている。そして淡い香り。 「ピース」は、やわらかく、おおらかに咲いていた。 「ピース」の…

薔薇色のなかの人魚姫。

4月も後半…春の風を受けて、公園の人魚姫が優しい目をしている。そんな彼女を囲んで、公園の薔薇たちが色とりどりに咲きはじめ、それぞれにささやきかわしている。『今年は早く目が覚めて…今日もあたたかくてさ…気持ちが良くて…ほらね…みんな元気そう!』 夕…

春の「しおさいの森」で。

15日、家族に誘われて「しおさいの森」まで花を見に出かけた。 急にあたたかくなったからだろうか、身体がだるく、足も重い。黄砂もまだ飛来しているのかもしれなかった。 海風を受けとめてうねるように伸びて群れなす松たち。その林の片隅にひっそりと咲い…

黄砂の一日。

12日夜、何か月ぶり、いや半年ぶりだろうか、久しぶりに喘息の吸入薬を使った。翌13日、黄砂で煙った大山のシルエットを気にしながら、市内の”徳川家康ゆかりの地”(清雲寺~日枝神社~中原御殿跡~善徳寺など)をめぐり歩いた。 観光協会のガイドさんやお寺…

5月14日までにどうぞ。

今、平塚市博物館で春季特別展『ゼロからの湘南地学入門』が開催されています。 202303_zero.pdf (hirahaku.jp) 石ころが好きな人、化石や恐竜に夢中な人、地層に興味のある人、そして、山や海や川によく出かけてしまう人は、ぜひこの特別展に足を運んでほし…

希望の無い未来?

今朝、朝刊のコラムを読み、そういえば私も同じような違和感をもっていたことに気がついた。 そのコラムでは、ほぼ死語であるような「同志国」という言葉が、今さらのように政治の場で闊歩しはじめていることへの不気味さが語られていた。 そして、その不気…

4月の高麗山へ。

4月3日、春の陽気に誘われて高麗山に向かった。 ホトトギスにはまだ早く、桜にはやや遅く…でも八俵山のあの樹々たちが待っていてくれるように感じたのだ。 八俵山の樹々たちは春の花に囲まれていた。嬉しくなって写真をたくさん撮った。 4月の高麗山 高来神…

ベランダのシロスミレ、「立石寺」のタチツボスミレ

家族との旅(作並温泉~立石寺)から帰ると、出かける前はまだ蕾だったベランダのスミレが、パッと一斉に花開いていた。 旅先でも、やわらかな苔の上で愛らしく育ったスミレに出会った。短い旅のなかで出会い、心慰められた花や風景など、思い出の写真をいく…

春の土屋で。

19日、市が主催した野鳥観察会に出かけた。フィールドの「土屋」は、平塚市西部の最奥部に位置し、隣の中井町と接している。 かつて、サークルで古墳を訪ねたり表面採集をしたり、何度か歩き回ったことはあったけれど、野鳥観察を目当てに訪れたことはなかっ…

読了間近のメモ

『家父長制と資本制』後半の分析扁に入ると、ようやく見晴らしのよい尾根道に出たような気持ちになった。 それは一方で、1970年代前半に社会人となった私が、実に何も知らず何も考えていなかった、ただ盲目的に働くだけだったと、過去の自分をふり返ることで…

「恥ずかしながら」と「ディスる」の印象。

13日…ベランダのスミレが濡れそぼつほどの雨だった。 久しぶりの雨。そして日頃の家事から解放された時間。そしてなぜか朝刊休刊日…。少しずつ読み進めている『家父長制と資本制』が気になりながらも、参議院審議のネット中継を見ることにした。(『アナベル…

昔のLPレコード。

若い頃に住んでいた家を片付けた際、捨てることができなかった本やレコードを少しだけ持ち帰った。 もう読みなおすこともないし、聴きなおすこともない。でも捨てられなかったものたちが、今も暗い部屋の片隅で眠っている。 その片隅から、古いLPレコード…

スミレの花を待つ日々。

ベランダの植木鉢のスミレたちはまだ冬眠中のようだ。 世界がコロナ禍の渦に放り込まれて4年目の春。その禍の翳りが少しずつ薄れてゆく”雰囲気”に、まだすんなりと溶け込めない。 そして、ロシア侵攻という悪夢のなかでウクライナの人々が迎えた2年目の春…

”敗北の受容”、そして今や、”戦前”という呪い。

今朝の朝日紙1面TOPは「防衛強化 バイデン氏支持」。2面には「会談、日本の強い希望」「安保転換 自賛と歓迎」の文字。(「いざアメリカ(ワシントン)!」ということか…岸田首相にとって晴れがましい訪米なのであろうことが伝わってくる。) あれよあれよと…