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私の第三十四夜をつづります。

2014-01-01から1年間の記事一覧

2014.8.15

今の時間の先に、まだ起きてはいない戦争、起きてしまうのかもしれない戦争がたぶん用意されている・・・そんなふうに感じる今年の8月15日。 自失の夏の時間が過ぎてゆく。海の風に自分を取りもどしにゆく。 海への大通りの店先に、ヘリオトロープが一叢咲い…

2014.8.7

昨日の午後、立秋の海を見に出かけた。 浜辺に着くと、ヒマワリもヒョウタンもすでに姿を消していた。 暦どおり、夏は終わってゆく。 波打ち際に向かって歩きはじめると、砂粒が強い南西の風に運ばれて、痛いほどに打ちつける。 波は荒れ、白く逆巻いている…

2014.8.6

「立秋」の文字 くっきりと 暦のなかに定まりてある どこにもたどりつかない心をよそに 8月5日、小田急線の駅から見あげた月 この日に見かけたスズメたちは、みな嘴を開いていた。そうやって、暑さをしのいでいるように見えた。

2014.7.29

じきに8月というのに、今週に入って、海からの風のなかに冷気が混じるようになった。 久しぶりに海に行こうと外に出る。 空を見上げると、うろこ雲が広がっていた。 空も空気も秋の気配なのだ。 砂浜に着くと、ヒマワリとヒョウタンが出迎えてくれる。 涼しい…

2014.7.25

海に近かった母の家から、駅の近くに移ってから7年目に入った。 庭が無い暮らしになってから、見慣れない小さな生き物に眼がとまるようになった。無機質な建物のなかで、生命体はとても目立つ。 たとえば蛾。階段や通路でじっとしている姿(なぜそこなのか、…

2014.7.22

今日、梅雨明けになるのだろうか。 いつもよりずっと涼しい風が吹いていた7月。 燃え上がるような日差しを迎える心構えがまだできていない。 ただ、今年の夏は、いつもの夏とちょっと違う。 8月20日に「みどり色の器 古代平塚の緑釉陶器展」(平塚市博物館)…

2014 .7.15

今日は朝から気持ちのよい風が吹いていた。 東の窓から、西の窓から、南のベランダから、風が入ってきた。 午後の日差しが衰えはじめた頃、外に出る。 駅前の大通りを海からの風が吹き抜けてゆく。 海の風で心は空っぽに、身体は吹き流しのようになる。生き…

七ノ域遺跡第8地点の調査成果を聞く

13日午後、横浜で「神奈川県発掘成果発表会 2014」を聞いた。最後の発表は平塚市の七ノ域遺跡第8地点だった。相模国府域の北半部(第3砂洲・砂丘列上)中央に位置する七ノ域遺跡は、第2・第3・第6地点でそれぞれ掘立柱建物群が展開し、第2地点からは大型の…

2014.7.10

クチナシの花の薫りには、世界の時間の秘密が隠されている。そんなふうに想像する。 日常の背後に、現在とは別の異なる時間が広がっていることを、その薫りでそっと知らせてくれているのではないか。そんな気がするのだ。 去年、やっと出逢えた道端のクチナ…

なぜ「村」の「殿」たちに「酒」を給したのか?

5日・6日と、居村木簡のシンポジウム(茅ケ崎市教育委員会)を聞いた。その企画・構成・内容のすべてにおいて、とても充実したシンポジウムだったと思う。 素人の私が理解した限りでは、今回のシンポジウムでは、おもに4号木簡について、「貞観□年八月十□日…

林B遺跡の緑釉陶器(2)

~林B遺跡第2・第4・第6地点から出土した緑釉陶器(図化された104点)について~ 〔平塚市史 別編 考古 基礎資料集成2 『平塚市内出土の緑釉陶器』(平塚市博物館市史編さん担当 2001年)をもとに分類〕 〈1〉残存部で文様を確認できる点数 〈2〉残存部で輪…

林B遺跡の緑釉陶器(1)

相模国庁跡の北600mほどに位置する林B遺跡については、まず、『平塚市史 11下 別編 考古(2)』(平塚市 市史編さん担当 2003年)で、次のように分析されている。 *第2地点の緑釉陶器の大量出土 → 整然と保管されていた大量の緑釉陶器が、火災後に廃棄された…

2014.7.2

今日も、海は何ごともなく波を寄せている。 じきに七夕というのに、この風の涼しさ。陽ざしのやわらかさ。 7月2日の渚 渚に築かれた砂のお城? 浜辺から帰るころには、ヒョウタンの花が開いていた。 白い和紙で作られたような。織姫の衣のような。涼しげな白…

2014.7.1

「2014年7月1日の朝」 2014年7月1日。 とうとう日本国のリーダーは、日本国憲法を踏みにじる道を開いた。 「未曾有の変革を為さんと・・・日本の進むべき道はこれであると、かのヒトラーの如く、ムッソリーニの如く・・・」 日本国憲法への宣戦布告、と思っ…

相模国府周辺の緑釉陶器、そして9世紀後半の源氏長者

相模国府周辺から出土した緑釉陶器の時期と産地について、平尾政幸・尾野善裕両氏は『湘南新道関連遺跡Ⅱ』(㈶かながわ考古学財団 2009)のなかで、次のように書かれている。 「以上、出土傾向を概観した結果、相模国府周辺での緑釉陶器の出土の初限(原文ママ…

相模国司-9世紀後半の介・橘岑雄、権介・橘休蔭

830年代から始まる相模国司・橘氏としての橘 峯継・真直兄弟の登場を、父・橘 氏公、ひいては橘 嘉智子や仁明天皇に係る人事であろうか、と推定した。 その氏公・嘉智子・仁明天皇が、848年・850年と相次いで没する。その後の9世紀後半についても、相模国と…

2014.6.22

20日、きっと訪れることはないだろう、と思っていた富岡製糸場を見学した。 久しぶりに集まった友人たちと富岡の町を歩く。町並みからも、世界遺産登録決定の一報を待ち望む思いが伝わってくる。 富岡製糸場を訪れる見学者は、ひきもきらない。次から次へ、…

相模集-由無言19 とらわれない歌人 曾禰好忠

『相模と「六人党」』(高重久美 文学史研究 2001)のなかで、歌人相模が学んだ形跡のある歌人として、「曾禰好忠」の名があがっていた。子どもの頃、「”ゆら‐ゆく”の歌」と覚えた百人一首の歌人だ。名前のほかは何も知らない。 今日、図書館の『国歌大観』…

2014.6.17

2014年の夏。 市井の人々のあずかり知らぬところで、日本国憲法が独裁者にもてあそばれた日々。 市井の人々と共に根をおろしてきた日本国憲法が、未熟な独裁者によって風船のように軽くもてあそばれた日々。 この夏のじりじりした思いを、私はどのようにふり…

2014.6.14

梅雨の晴れ間。 雨傘を日傘にして図書館へ向かう。 細い木陰道に入ると、さした傘の裏側がプラネタリウムのように点滅した。 ちょうど午後の光線が木々の間からさしこんでいたのだ。 歩くに連れて、傘のドームは次々と木洩れ陽の映像を映し出す。 それが面白…

2014.6.13

この頃は音楽も聴かない。 夜の月も見ない。 山の端に沈む夕日も見ない。 求めるものから遠ざかった。 きっと、その引き換えだ。 6月13日の海(1) 6月13日の海(2) そこからはどんなふうに見えますか?

2014.6.10

思いきって東京に向かった。 上野に着くと、ほどよい人出でホッとする。 久しぶりに歩く公園。 カフェが増えている。 深かった森が明るい。こんなに見通しがきくのか。 上野の森に大きな人工的な手が加わったことが明らかだった。 ともかくも、ようやく法隆…

2014.6.5

昨日の午後、図書館に出かけた。 初夏の自然な風がそよと入る窓辺の机で、みな、静かにうつむいている。 今はなんと平和な季節だろうと思う。 世の中に不穏な流れが姿を顕わしはじめる時代というのは、いつもこんなふうなのだろう。 そんな漠とした不安がよ…

2014.6.1

六月は特別な季節だ。 なぜ特別なのだろう。 たぶん、めまぐるしい花の季節が去り、いきぐるしい若葉の季節がひと休みしたから。 六月になれば、窓の向こう、遠い空のどこかに夏なるものが在るから。 六月を迎えれば、私は季節のなかへとはいってゆける。 い…

2014.530

気のまったく進まない作業で午前・午後の数時間を費やした。疲れた。 あと二三日はかかるだろうと思うと気が重い。修行と思ってあきらめるしかないか。 突如始まった耳鳴りも止まってくれない。初めての経験。 経験して初めて、うっとうしいものだと分かる。…

2014.5.29

「昨日、浜辺にたくさん黄色い花が咲いていた…」と教えてもらった。 きっとマツヨイグサ(?)のことだ。 シャワーのような天気雨が去ったあと、海に出かける。 教えてもらった東寄りの浜まで、木のテラスを歩く。 今日の陽ざしが強かったのだろうか、テラス…

仁明天皇時代の尾張国司と相模国司

「尾張における緑釉陶器生産に淳和院が関与していた」と想定する論考(『湘南新道関連遺跡Ⅱ』2009)を読んだ時点で、尾張国司のなかに相模国司や嵯峨源氏・仁明源氏と係わる人がいるのだろうか、と調べたことがあった。 結果、嵯峨源氏である源 弘(845年、尾…

2014.5.25

昨秋と同じような気管支の怪しい雲行きを不安に感じながらも、吸入器をお守り代わりに、津久井町へと出かけた。 結局、歩きはじめてみれば、何ともなかった。会の仲間たちと調査をしながら、走るのも、階段を登るのも、不安に感じる暇がなかった(昨日まで、…

相模国司・橘岑継と橘真直

相模国府域の9世紀の景観を明らかにしようと、これまで、多量の緑釉陶器の出土(遺跡別出土点数)、相模国司の顔ぶれ(嵯峨源氏・仁明源氏の連続補任)、大住郡大領・壬生直広主の異例な出世(従五位下、外従五位上まで昇進)について、自分なりに考えをめぐ…

2014.5.23

午後の浜辺。 通り雨で、砂の色が濃くなっていた。 ウミネコの群れが、鳴きあいながら空を舞う。 波の音を聴きながら渚伝いにゆっくり歩いた。 この波のリズムはどこから生まれてくるのだろう。 いつも、私の呼吸のリズムを鎮めてくれる。 家では気管支が細…