enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2017-01-01から1年間の記事一覧

2017.10.9

昨日の暦には「寒露」とあった。 季節はずれの陽射しのなか、”水辺の楽校”に向かう。 休日の川辺。 土手の斜面は、サッカーの練習を見る人々で埋まっていた。 観客には、自身がフィジカルそうな人も、そうではなさそうな人もいる。 若い女性たちが日傘を並べ…

2017.10.7

いつだったか。 友人とインド林檎の思い出を話し合ったことがある。 今はどこにも見かけないインド林檎。でも、その独特の匂い、甘さ、形をはっきり覚えている。 そして、この季節、毎年のように、友人からリンゴをいただく。今秋は2回目。 数年前に比べ、少…

2017.10.4

昼、吐き出されるように横浜駅の外に。あたりの風の冷たさに驚く。 今日は、眼科での長い長い待ち時間が、あっという間に過ぎた。 きっと、持ってきた本の中で、主人公の時間を、彼と一緒に過ごしたからだ。 その世界から待合室に戻ってくる。 なんだか、ふ…

「セネキオ(senecio)」のような月

最近、心が苛立って困ることが多くなっている。 なぜだろう。 なぜだろう。 なぜ、こんなに荒んでしまったのか、はっきりわからない。 そのことがまた不安だ。 日々、安易に貪っているもの。 日々、安易に取り込み続ける雑多な、そして不要な情報。 日々、安…

”渚”

10月2日。 机の上には、数日の間、読めないままに溜まっていった新聞の束。 ちょっと前まで未知だった時間の堆積(?)。 未知の世界からやってきて(?)、すでに過去の世界のものとなった(?)時間。 そのほんの一部の出来事が、わずかな記事のなかにおさ…

とぐろを巻くもの

先日、enonaiehonを読んでくださった方から貴重なコメントをいただいた。 そのなかに、「貪・瞋・癡」という言葉があった。 初めて見る言葉。 仏教の言葉であるらしいと思ったけれど、読み方すら分からなかった。 調べてみると、「貪」は(どん)…

この頃、思い出すセリフ

「アドルフ、よくやった。君は左を斬り、返す刀で右を斬ったのだ。」 2017年秋、なぜこのセリフが脳味噌の奥から聴こえてくるのか、分からない。 アドルフは誰なのか、それ以上にクルップは誰なのか、分からない。 大真面目で、それでいて、あとからふり返れ…

10月22日の月は?

なぜだろう、最近、国鉄分割民営化の流れが進んでいた頃の”社会の空気”はどんなだったろうと、ぼんやりと思い出すことがある。 その頃、職場の仲間たちとともに立ち向かっていた壁は大きく、土台は堅固なものとして感じていたと思う。 その壁には、それなり…

2017.9.26

2017年の夏を過ごしたのは、こんな秋を迎えるためだったのか…。 としても、あきらめることはない。 季節はとどまらないのだから。 あきらめない。 そのとき、そのときの季節を、それぞれ、それぞれの時間を生きる。 歩道のハゼラン(三時草)

2017.9.22

21日夕方、海に近い次兄の家に葡萄を届けに出かけた。 途中の公園では、白いフヨウの花が斜めの光を浴びて涼しげだった。夏の終わりの光、秋の光。 次兄の家に通う道筋は、母のかつての家(私が生まれ育った家)の近くを通るけれど、引越しのあとは一度も眼に…

「野党は臨時国会冒頭に、内閣不信任案を提出すればよいのではないか。」

”総理私邸での会談”を終えた連立与党代表者が、黒塗りの車で立ち去る場面をTVの報道で見たばかりだった。 いやな気持ちがした。 平安時代中期頃、律令政治の衰退とともに、”政務の中心の場は国庁から国司の館へと移ってゆく…”といった歴史的な絵柄。 これま…

最初に記憶した木

夏に琵琶湖と伊吹山を旅してから2ヶ月近くたった。 最近になって、その旅の景色の空白を埋めるような写真を何枚かもらった。 (琵琶湖畔に泊まった翌朝、カメラを置き忘れて散歩に出てしまった。それを埋め合わせる写真だった。) そのなかにポプラの木…たぶ…

2017.9.13

今日、うれしかったこと。 横須賀美術館のツイートで、空いっぱいにコンパスで引いたような虹の写真を見たこと。 (私も見たかったなぁ…平塚の海にもかかっていたのかなぁ…) 今日、うれしかったこと。 久しぶりにきれいな夕焼けだったこと。 9月13日の夕焼け

2017.9.12

9日午後、平塚市博物館に出かけ、夏期特別展の記念講演を聴いた。 夕方まで、新鮮な”別世界”のなかをさまよい、とてもリラックスした時間を過ごした。 (休憩時間に石好きの友人から”居眠りしないように”と注意された。リラックスし過ぎだった…。) 講演会の…

2017.9.7

昨日の朝、姪からの電話。 「これから、すご~く美味しいものを届けにいきますから!」 姪の声はいつものように笑っている。40代半ばになっても、小さい頃のつぶらな瞳のままの姪。 届けられたのは”緑色のブドウ”。 シャイン・マスカットという品種なのだと…

2017.9.2

台風を遠く感じた。それでも澄んだ青い空は、やはり台風一過の空に違いなかった。 じくじくと、ひりひりと、どうにもならない自己嫌悪の毒素さえも、一瞬、かき消されてしまいそうな空。 私にも平等に青空が広がっているのか…。 洗濯物を取り込もうとベラン…

2017.8.31

8月最後の日。 夕方、外に出る。熱気のかけらもない。 その空気に心も体も溶けてゆきそうだった。 (それは喘息の吸入薬が効いてきたときの心地よさにも似ている。つまり、うっとりとするほどの心地よさ…。) こんな日は重い買い物も苦にならない。 小さな八…

「凡人部豊子丸」とは?

8月26日、第6回平塚市遺跡調査・研究発表会に参加した。 (地元の遺跡の発表会が開始されてからすでに6回。今は、夏の終わりの楽しみになっている。) 今回はとくに相模国府域の中枢遺跡の調査成果が並び、それぞれの遺跡にまた新たな謎が加わった。 (遺跡…

2017.8.27

8月も終わってゆく…。 2011年の夏、あれほど意志強く節電を心がけたのに、今はいったい…と思う。 夕方の陽射しさえこたえる。 いや、日が落ちても、体にこもった熱に気持ちがくじける。 実につまらないものに負け続けて、今年の夏が自堕落に終わってゆく。 …

響きと記憶

人の内部に、仮に記憶の沼があるとして、私の場合、その表面に漣が立つきっかけがいくつかある…ように思う。 それは光の射しこみかただったり、風の気配だったり、ふとした匂いだったり、音の響きぐあいだったりする。 ある瞬間、光や風、匂いや音などの刺激…

2017.8.10

9日、1月から始まったいくつかの病院通いも、ようやく一段落した。 こうして、身体についてはルーティンなメインテナンスが可能なのに、経年劣化した脳味噌ばかりは、修理したくとも手立てがない。やれやれ…と思う。 今夏、6月19日に平塚のクチナシとザクロ…

車中と待合室での読書

7日、横浜に出かけた。 電車のなかで、また、待合室のなかで、図書館で借りてきた本を読む。 読みながら、2017年の今の日本の現状と置き換えて理解し、共感する部分があった。 現在の私の場合、その内容も、読んで感じたことも、またたくまに記憶の泥沼のな…

2017.8.6

毎年、8月という季節に経験することがある。 それは、日盛りの道を歩いている時、白い光と、その光を切り取った穴のような影とのコントラストのなかで、一瞬、”時”が静止したように感じることだ。 それは、その瞬間、世界が真っ白な、真空の空間として止まっ…

2017.8.2

≪前日の「日記」の続き≫ 26日、旅の最後に訪れた伊吹山。頂上までの細い山道の両脇に”お花畑”が広がる。霧が這い登る斜面。小さな野の花たちが次々に姿をあらわす。『こんにちは!』 伊吹山の自然の保全活動をされている方々が作成されたガイドをたよりに、…

2017.8.1

7月25~26日、気の置けない相棒の誘いに乗って、長浜~彦根~伊吹山の旅に出かけた。 そもそも、ということでは、旅は一人旅が好きだ。 旅の空は一人で見上げてこそ、という気持ちがどこかにある。 それでも、気ままで偏った一人旅の合間に、友人や相棒に誘…

しぐさの印象

24日、衆議院の国会中継を見た。 政府参考人の一人は、野党の厳しい質問を何回も受けていた。 彼は挙手し、参考人席から小さな立ち机に向かって歩を進める。 彼がそうした答弁に立つために繰り返した数mの歩行。 その何回かの歩行のなかで、彼は1回、2回…

2017.7.22

21日、梅雨明けの空の明るさにひるみ、5時をまわったのを確かめてから海へと向かった。 駅前の大通り。南からの風は昼の熱気を巻き込んで生温かい。 それも、海に近づくにつれ、海面を感じさせる新鮮な風になってゆく。 海はすっかり夏の表情に変わっていた…

2017.7.21

18日、激しい雨と雷鳴の世界。 清々しいほどのエネルギーの爆発にともなって、風はにわかに涼しくなる。 やがて暗い雲が、てっぺんから遠のいてゆく…これで今年の梅雨も終わりかな、と思う。 19日、関東地方も梅雨明け。 これからの2ヶ月ほどの”たたかい”の…

ケルゼン「民主主義の擁護」

ハンス・ケルゼン「民主主義の擁護」(1932年)の最後の部分を繰り返し読む。 そこに掲げられた言葉のなかには、民主主義や自由について無自覚な私にとって、戸惑いの残る部分があったから。 『民主主義の本質と価値 他一篇』(ハンス・ケルゼン 著 長尾龍一…

2017.7.13

朝から、空模様が移り変わってゆく。 曇り空から涼しい風が吹き込み、じきに雨が降りはじめる。 洗濯物を取り込み、窓を閉める。 ひとしきり降ったあと、薄日が射し、やがて、もとのような曇り空に。 窓を開け、風を入れる。 そんな空模様の合間を縫って、次…