enonaiehon

私の第三十四夜をつづります。

2015-01-01から1年間の記事一覧

『一遍聖繪』を観て

11月になった。遊行寺『国宝 一遍聖繪』展に出かけた。朝の空気はずいぶんと寒くなっていて、薄着で出たのを少し後悔しながら藤沢に向かった。 遊行寺の地は、”『更級日記』の「西富」はどこか”という関心を持っていた頃に何回か訪れた…その後、「西富」を「…

2015.10.27

10月が残り少なくなると、戦場ヶ原の落葉松はもう散りはじめただろうかと、なぜか心急く。 黄金色の雨がふりそそぐ落葉松の林を歩く…毎秋、その記憶をくりかえしなぞる。 若い頃、毎年のように訪れた日光がすっかり遠いところになった。 落葉松の黄葉がふり…

(無題)

2011年春の時点でも、4年半後の現在も、私にとってenonaiehonというブログが何なのか、よく分かっていません。 これまで、enonaiehon宛に、何通かのコメントが届きました。そして、(おかしな言い方ですが)実際に拝読しているのは私な…

「はつる」という言葉

24日、「発掘遺構から読み解く古代建築」(奈文研による東京講演会)を聴いた。 かつて、”8世紀代の相模国庁脇殿とはどのような建物だったのか”などと、仲間たちとあれやこれや思い巡らした時期があった。それこそ”休むに似たり”の疑問が山ほど湧いた。しか…

2015.10.23②

富戸駅から”池”に向かう道で見つけた「小さい秋」。色とりどりの実が秋を感じさせてくれた。「赤い鳥小鳥」の歌のように、鳥たちも、実をついばむのに忙しそうだった。 さて、実の色は確かに美しいのだけれど、どこか眼のような、唇のような…生々しいものに…

2015.10.23①

22日、始発電車に乗り、伊豆に向かった。伊東線の電車の中はすでに暖房が入っていた。 無人の富戸駅を降りると、秋が深まった気配を感じた。富戸駅からは”池”へと向かう。”池”は、東の大室山(580m)、西の遠笠山(1197m)にはさまれた矢筈山(876m)東麓…

2015.10.20

今日の夕空のなかほどに、淡く白い月がかかっていた。数日前の三日月が、すっかり太って半月になっている。 2015年の秋の月。暑かった夏、それなのに、あっけなく終わってしまったような今年の夏を思い出す。この地球の上で繰り広げられる ありとあらゆる営…

伊勢山台の「聖観世音菩薩立像」

17日、9月の現地説明会で訪れたばかりの川崎市千年の伊勢山台へ、再び出かけた。能満寺で公開中の「木造聖観世音菩薩立像」を拝観するためだ。(併せて現地公開特別講座も拝聴することができた。) 初めて訪ねた能満寺は、伊勢山台の南中腹、標高30mほどの…

2015.10.15

10月に入ってさっそく風邪をひいた。例年、10日前後、せっかくの佳い季節を無駄にしている気がする。 去年の秋はどうだったろう。手帳を見返すと、”10月16日 初冠雪”の文字が眼に入った。今年の富士の初冠雪は、去年より5日早かった。風邪ひきは、去年より20…

2015.10.10

今週はずっと家の中で過ごした。大事にとっておいた2年前の薬を飲んでみた。飲むたびに、少しずつ楽になっていった。 一昨日あたりから、日中は起きて過ごせるようになった。昨夜は、TV放映された『思い出のマーニー』まで観ることができた。 現金なものだ…

河川沿いの特殊遺物出土

4日、かながわ考古学財団による発掘調査成果発表会に参加した。精選された遺物も間近に眼にすることができた。ただ、自分の意欲とは裏腹の体調のために、いただいた資料を持ち帰るだけに終わってしまったような気がする。 今日、発表会で記憶に残った情報を…

2015.10.5

4日、横浜に出かけ、半日を暗い講堂内で過ごした。その暗さと、出かける前に飲んだ薬のためか、ほとんどが夢うつつの時間となった。『私はいったい、何のために秋晴れの一日を…』 夕刻、頭痛と疲労感でいっぱいになりながら、やっとの思いで家に辿りついた。…

2015.9.30

29日、鎌倉国宝館の展示「特集:鶴岡八幡宮と東大寺」を見学した。 9月に入ってから、平塚の図書館で、その大きなポスターを眼にしていた。階段の踊り場で何度も立ち止まり、ポスター全面を占める仏像(?)の面を眺め、その美しさと厳しさに惹きつけられた…

2015.9.29

27日夜、東京から月の写真ファイルが送信されてきた。折り返し、平塚の月を送った。 瞬時に、デジタル画像と日常的な言葉が送信され着信する。そんな時代に生きながら、かつて、日々折々に歌がやり取りされていた時代が存在したことを思わずにいられない。そ…

2015.9.27

今日、昼前に家を出て最初の角を曲がると、向こうから、ほんの一握りほどのススキ(のようなもの)を手にした年配の女性が歩いてきた。そうか、今日は十五夜…と思った。今晩の月はどうなのだろう…とも。 その後、友人と会って、やはり「今夜はどうかな?」と…

2015.9.24

父の命日にあたる22日、墓参りをした。兄、兄の家族も一緒だった。相模川右岸沿いに車で進む。遠くに丹沢の山並みを望む丘陵にたどりつく。 私の父は65歳で亡くなった。私もじきに父の歳になる。この数年、そう思うことが多くなった。 父は北海道の農家の長…

2015.9.21②

高麗山の尾根道に出る一番の近道は、まっすぐ八俵山に向かうルートなのだろうか。 20日も、高来神社にお参りしてから、20分ほどで八俵山に着いた。男坂ではこうは行かない。 八俵山に出ると、いつもちょっと休む。水を飲んだり、風や鳥の声を聴いたりする。…

2015.9.21①

20日、高麗山に出かけた。6月の初めにホトトギスの声を聴いてから一夏が過ぎた。 6月と同じ南斜面の道を辿る。薄暗い山道の高みに響くのはミンミン蝉、メジロ、そしてキツツキ?の声。足もとには、谷を流れる水の音。 八俵山に着くと、いつもより多くの人た…

2015.9.19

「すすめ すすめ じえいたい すすめ」 「あすから あめりかぐんたいと こうどう ともにできるのも みな あべさんのおかげです おくにのために おくにのために つくされた みな あべさんのおかげです」 コンナ ニホンニ ダレガシタ ソンナ ニホンニ サセマセヌ

2015.9.17

東京に向かうのは木曜なのだろうか、それとも…今週は、そんな宙ぶらりんの思いで始まった。 月曜は、用あって出かけた。初めて歩く道で足が止まった。古い屋敷地の塀際にザクロの木があったから。複雑な色合いのしっかりとした実が生っているのをしばらく眺…

橘樹郡衙跡からの眺め

12日、久しぶりに千年伊勢山台遺跡の現地説明会に出かけた。 2004年1月の橘樹郡衙跡、2006年10月の影向寺遺跡で行われた現地説明会を最後に、10年近く訪れていなかった調査現場だ。今回、台地東側の正倉群、西側の古代寺院との中間あたり…やや西寄りの地点で…

2015.9.11

この三日間、雨が小止みになると外に出ては図書館に向かう…を繰り返した。道々、傘を開いたり、閉じたり。この三日間、平塚の町の雨はそうした降り方だった。 図書館でも本を開いたり、閉じたり。 あてどなく、未知の世界に踏み入って、道草そのものの時間を…

シンポジウム(古代東国の地方官衙と寺院)を聴いて

雨も降らず涼しかった5日、一日がかりのシンポジウムに出かけてみた。 ”評から郡へ”という歴史の流れのなかで成立してゆく古代東国の郡家と寺院について、7つの報告と全体討論を聴きながら、自分の最近の不勉強を感じ続けた。7名の研究者の方々の報告が、次…

(無題)

私が、自分というもののゆらめきの一部をブログという形で保存し始めたのは、2011年3月11日の大きな地震と津波がきっかけでした。 それまで、ブログというものに自分が一歩踏みだせるとは思っていませんでした。今でも、自分のブログのことを人に話せません…

2015.9.4

つなぎとめるものなく、あてどなく、自由。 昔、母が繰り返し語った思い出の一つが、夏休みを過ごした塩屋のことだった。 ”塩屋”、そして”大聖寺川”。今も私の見知らぬ土地だ。 母の思い出のままに、その海、その川で泳ぐ少女時代の母の姿を思い描いたものだ…

2015.9.3

図書館にいると、なぜ気持ちが落ち着くのだろう。海の風、波の音。それに似たものが、図書館のどこにあるのだろう。 膨大な量の書物は過去の人々の言葉の海なのだろうか。その海から波の音が聴こえてくるのだろうか。書棚の間をさまよって、辞書を眺め、地図…

2015.9.1

もう9月。2015年の過ぎてしまった時間のこと、残る時間のこと。何もしてはいない自分のこと。ふりかえると気持ちが沈む。こんな時、浜辺暮らしの猫に逢えたら、と思ったりする。もうどこにもいない猫。そして、もう昔のようには会えない人、話せない人…ぼん…

2015.8.30

今日の国会議事堂前の歩道には、7月のようなサンダルを壊すほどの灼熱こそなかったけれど、人々の波が歩道から溢れるばかりにうねり続け、人いきれで息苦しいほどだった。 地下鉄の出口から次々と噴き出してくる人々。まさに怒りのマグマが地下から噴き出し…

歌人相模の初瀬参詣ルート補記②:宇多上皇“宮滝御幸”での淀川渡河の可能性

歌人相模の初瀬参詣での龍田山(竜田山)越えルートを探るなか、898年の宇多上皇一行の“宮滝御幸”を知って、そのルートに興味をもった。つまり、宇多上皇“宮滝御幸”ルートで淀川を渡河した可能性があるように思ったからだ。 その宇多上皇“宮滝御幸”では、遊猟…

2015.8.28

夏の終わり。陽射しも風も浜辺も花火も、夏の終わりを告げているような一日。 8月28日の海① 8月28日の海② 浜辺のイソヒヨドリ 花火① 花火② 花火③ 花火④ 花火⑤ 暑すぎた夏が夢のように消えてゆく。 一瞬開いては闇に溶けてゆく光の花。 人々の歓声と打ち上げ…